関節リウマチ 2010年ACR/EULAR新分類基準について

 関節リウマチ(RA、以下RAと記載する。)は関節破壊を起こす自己免疫疾患であり、日本で70~100万人前後(人口の約1%)が罹患しているといわれている。RAの初期症状は関節痛や身体のだるさがあるが、この関節痛やだるさが人により異なり多様な症状を引き起こすことから、RAという診断が下されないまま、痛み止めだけ処方されて余計に悪化するというような事態が起こっていた。確定診断までに時間を要した原因のひとつは、RA罹患期間7.7年、262名の研究結果から作成されたアメリカのリウマチ学会(ACR)のACR分類基準(1987)を診断基準として用いていたこともあげられる。(厚生労働省2010年資料『リウマチ対策(H17~)の評価と現在の問題点』より)

 生物学的製剤やMTX使用などにより、初期の患者を悪化させない治療法が進んできており、疾患が進行し車イス生活となってしまうような増悪が寛解(病気の症状がほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態)となることも可能となってきた。RAにおいては①炎症と自他覚症状の消失を意味する臨床的寛解、②関節破壊の進行がほとんど止まることを意味する構造的寛解、③身体機能の維持を意味する機能的寛解の導入が治療目標とされている。(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター整形外科HPより抜粋引用)
 このため、初期の患者の確定診断を行うことで、罹患初期により速やかに治療に入り、病状を悪化させないという方向転換をしてきており、2009年米国と欧米のリウマチ学会で2010年ACR/EULAR 新分類基準が提示された。

 この2010年ACR/EULAR 新分類基準発表の後、日本リウマチ学会において、この診断方法が日本で活用できるかいくつかのコホート研究が行われ、その結果が2011年9月にリウマチ学会の新基準検証委員会報告書では以下のように報告され、日本での適応が結論された。同報告書より抜粋を記載する。

 「早期、進行期、治療コホートのいずれにおきましても、抗リウマチ薬投与前の時点において、新基準による診断の感度は87年基準の50%弱から、75%前後へと向上し、優れた診断感度である事が確認されました。一方、87年基準と比べ、特異度がやや低下する事から、他疾患の鑑別が重要であることが示されました。同時に、血清反応陰性、大関節罹患型の症例では、診断が困難になる例があることも指摘されております。このような課題は、エキスパート検証委員会によるケース検証からも指摘されました。解決する方策として、鑑別診断の難易度を示した疾患リスト、鑑別診断時の診察•検査チェック項目リストを参照しながら、この基準を用いることが提案され、両作業部会で合意を戴きました。
 ACR/EULAR では、この新基準の適応をすでに開始しております。上記のような対応による鑑別診断を慎重に行った上で、2010 年ACR/EULAR 新分類基準を我が国において用いる事は、グローバルの潮流である早期診断•早期治療介入に資するものと考えます。ここに新基準を我が国においても適応すべきとの結論に達しました。」(日本リウマチ学会資料2011年9月「ACR/EULAR新分類基準の検証について」新基準検証委員会報告書の報告より抜粋)

 以下に、上記で記載した診断基準を年代ごとに掲載する。
今後、診療の現場で用いられているRAの病期・進行度の分類、疾患活動性の評価についての指標などについても本コラムで順次掲載予定である。

■ACR分類基準(診断基準)(アメリカリウマチ学会1987年)

1. 朝のこわばり(一時間以上持続する)

2. 多関節炎(少なくとも3領域以上の関節の腫れ)

3. 手の関節の腫れ

4. 対称性の関節の腫れ

5. リウマチ結節

6. リウマトイド因子(リウマチ因子)陽性

7. レントゲン検査で典型的な関節所見

上記7項目のうち4項目以上があれば「関節リウマチ」と診断


■早期関節リウマチの診断基準(日本リウマチ学会提唱1994年)

(1) 3つ以上の関節で、指で押さえたり動かしたりすると痛みを感じる

(2) 2つ以上の関節に炎症による腫れがみられる

(3) 朝のこわばりがみられる

(4) 皮下結節(リウマトイド結節)がひじやひざなどにみられる

(5) 血液検査で赤沈に異常がみられる、またはCRPが陽性である

(6) 血液検査でリウマトイド因子が陽性である

上記3項目以上にあてはまる場合を早期関節リウマチとする。



■2010年ACR/EULAR 新分類基準(アメリカ・欧州リウマチ学会2009年)

【関節病変】

(1) 中・大関節に1つ以上の腫脹または疼痛関節あり   0点

(2) 中・大関節に2~10個の腫脹または疼痛関節あり   1点

(3) 小関節に1~3個の腫脹または疼痛関節あり      2点

(4) 小関節に4~10個の腫脹または疼痛関節あり     3点

(5) 少なくとも1つ以上の小関節領域に10個を超える腫脹または疼痛関節あり  5点

【抗体検査(RF または 抗CCP抗体)】

(1) RF、ACPAともに陰性  0点

(2) RF、ACPAの少なくとも1つが陽性で低力価 2点

(3) RF、ACPAの少なくとも1つが陽性で高力価 3点

【滑膜炎持続期間】

(1) <6週 0点

(2) ≧6週 1点

【炎症反応】

(1) CRP、ESRともに正常 0点

(2) CRP、ESRのいずれかが異常 1点

上記のスコアの合計が6点以上である症例は「RA確定例 (definite RA)」と診断。

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2011年10月 7日|

疾患用語集

膠原病

1つの病気の名前ではなく、関節リウマチ・ベーチェット病・SLE・多発性筋炎症・線維筋痛症などの、自己の免疫が誤って自分自身を攻撃してしまう疾患を総称して膠原病と言います。複数の疾患を同時に発症する場合もあります。全身のコラーゲン(膠)に変性が起きたために炎症が起きると考えられていたため、この名称がつきましたが、実際はコラーゲンが原因でないことが後に判明しました。現実を示さない呼び方とされながらも日本では広く使用されている名称です。
 

関節リウマチ

免疫の異常により、関節に炎症が起こり、腫れや痛みが生じます。他には、寝起きの関節のこわばりも高い頻度で見られます。進行すると、関節が変形したり、動かなくなってしまうことがあります。原因は、まだはっきりとはわかっていません。30代~50代で発病することが多く、女性は男性の3倍の患者数がいます。日本全国で、100万人近い患者がいると言われています。
 

線維筋痛症

ある日突然一部分に痛みを感じ、最終的には全身の広い範囲にわたって痛みを感じる疾患です。重症化すると、触るだけで飛び上がるような激痛を生じます。一般的な検査をしても原因がわからないため、なかなか診断がつかないことが多いのが現状です。痛みの他に睡眠障害・疲労感・過敏性大腸炎・抑うつ感など様々な症状が現れます。関節リウマチ・膠原病と併発することもあります。女性は男性の7倍患者数がおり、中高年の女性に多い疾患です。
 

子宮内膜症

本来は子宮の内側にある「子宮内膜」という組織が、卵巣や膀胱と子宮の間など別の場所で発生してしまい、月経のたびに増殖・剥離(出血)を繰り返す病気です。月経のある女性の10人に1人が罹患していると言われています。症状は月経時の下腹部痛・排便痛・吐き気・性交痛など様々で、下腹部痛が激しい場合、月経中に寝込んでしまい日常生活が行えない程になります。卵巣に血液が溜まるチョコレート嚢胞などを引き起こす場合もあります。
 

子宮筋腫

子宮に出来る良性の腫瘍です。成人女性の20~30%は子宮筋腫を持っていると言われています。子宮の筋肉の中に出来るもの、子宮の外側を多う漿膜下にできるもの、 子宮の内側の粘膜下にできるものがあり、出来る場所によって症状も変わってきます。症状は、無症状のことが多いですが、過多月経(出血量が多い月経)・貧血・便秘や頻尿・腰痛などがある場合もあり、月経の度に貧血や下腹部痛で日常生活に支障が出るケースもあります。
 

子宮体がん

子宮の内側にある内膜から発生した悪性の腫瘍です。50代~60代が発症のピークで、発症率は増加傾向にあります。閉経後に続く少量の出血が初期症状ですが、他にも悪臭を伴うおりものが増える場合もあります。出血があった場合は、少量でも、すぐに婦人科受診が必要です。
 

子宮頸がん

子宮の入り口(膣部)や頸管の上部に発生する悪性の腫瘍です。20代後半~40代、もしくは70歳以上で罹患率が高い疾患です。初期症状はないことも多く、性行為の際出血したり、おりものが増える場合もありますが、気付かないケースがほとんどです。婦人科受診で容易に発見できるため、定期的な婦人科検診が最も有効です。多くがHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因となっているため、最近、一部のHPVを予防するワクチンを受けることが可能になりました。
 

乳がん

乳房に出来る悪性の腫瘍。30代後半~50代で罹患率が高い疾患です。乳房のしこり・乳房のくぼみや皮膚の腫れなどが、自覚できる症状です。他の臓器やリンパ節への転移が起こる前に治療を開始するためにも、定期的な超音波検査やマンモグラフィーで早期発見をすることが非常に大切です。

糖尿病

インスリンというホルモンの作用が低下したため、体内に取り入れられた栄養素がうまく利用されずに、血液中のブドウ糖(血糖)が多くなっている疾患です。先天的にインスリンが分泌されない「1型糖尿病」と、肥満等でインスリンが出にくくなる「2型糖尿病」があります。症状は、初期は喉が渇く・尿が沢山出る・体重が減る・疲れやすい等があります。健康診断の血液検査で見つかることも多い疾患です。

腎疾患

腎疾患は、糸球体腎炎(慢性・急性)・腎不全(慢性・急性)・ネフローゼ症候群があります。この中で慢性疾患に位置づけられるのは、糖尿病や通風から引き起こされる慢性腎不全とネフローゼ症候群です。症状はたんぱく尿・多尿・むくみ・血尿・高血圧・貧血などです。腎疾患が進行した場合、下記にある人工透析が必要となります。
 

人工透析

腎臓の機能が低下する「腎不全」になった場合、血液を浄化する治療です。血液透析と腹膜透析の2種類があるが、血液透析が一般的です。血液透析を受ける場合は、一般的に週3回専門の施設に通い、1回4時間かけて治療します。 腹膜透析は、お腹にカテーテル(チューブ)を挿入し、自宅や職場などで自分で行えますが、毎日4回程度液の交換が必要となります。

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2009年4月 2日|